「高卒資格」と「高卒認定」の違いは?取得方法や証明内容の違いまで解説

「高卒資格」と「高卒認定」は、とてもよく似ている言葉ですが、取得方法や証明する内容には大きな違いがあります。違いをよく理解した上で、自分に必要なものは「高卒資格」なのか、「高卒認定」なのかを判断しましょう。このページでは、「高卒資格」と「高卒認定」、それぞれの言葉の意味から違いまで、詳しく解説します。

▊高卒資格とは?

高卒資格の正式名称は、「高等学校卒業資格」です。「高校を卒業した」ということを表す資格であり、高卒資格を取得すると、学歴は「高卒」になります。高校を卒業し、高卒資格を取得するためには、「①3年以上高校に在籍し、②卒業までに74単位を修得し、③30時間以上特別活動に出席する」必要があります。高校卒業資格は、高校で学習する内容を理解したという「学力の証明(=②)」と、3年間高校生活を送った上で特別活動にも参加したという「集団活動を行なった証明(=①,③)」になります。

◆高卒認定とは?
高卒認定の正式名称は、「高等学校卒業程度認定試験」です。「高校を卒業していないが、高校卒業と同等程度の学力を認定する」ということを表す資格であり、高卒認定に合格した時点での学歴は「中卒」です。高卒認定試験は、年に2回(8月上旬・11月中旬)に実施されます。
試験科目は計8科目(国語、数学、英語は必ず受けなくてはならない必修科目で、地歴、公民、理科は、科目をいくつか選択しての必修)ありますが、1回で8科目全て合格する必要はありません。合格した科目は「科目合格」となり、次の試験からは免除されるため、受験自体を2回に分けて対策することも可能です。
高卒認定試験に合格すると、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載することができ、大学・短大・専門学校の受験資格を得ることができます。つまり、高卒認定試験は、「”大学・短大・専門学校に進学する権利”を得る試験」と言い換えることができ、高卒認定試験を受験する人は、進学を目的としています。

▊「高卒資格」と「高卒認定」の違い

「高卒資格」と「高卒認定」の最も大きな違いとしては、「高卒資格」は実際に高校を卒業していますが、「高卒認定」は高校を卒業していないという点が挙げられます。進学をしない場合、「高卒資格」を持っているときは「高卒」が最終学歴になるのに対し、高卒認定を合格しただけでは「中卒」が最終学歴になり、後々社会人として生活する上で違いが生じることになります。
日本の企業求人において、「高等学校卒業」をエントリー条件にしている企業が非常に多いため、「高卒認定」に合格した「中卒」の状態だと、就職先の選択肢が減ってしまうのです。また、最終学歴によって入社後の給与が変わることも多く、学歴に関係なく入社できる会社であっても、「中卒」か「高卒」かでは、とても大きな違いとなります。

中卒高卒
初任給15万円16万円
20代年収250万円265万円
30代年収388万円409万円
40代年収441万円474万円
50代年収461万円500万円
生涯賃金2億1000万円2億3000万円
出典元 : 令和2年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
▊「高卒認定」では得られない、「高卒資格」がもたらすもの

「大学受験資格を得たいけど、高校に通っている時間やお金はない」という人は、「高卒認定」で十分かもしれません。「高卒資格」は3年以上高等学校に在籍しないと取得することができませんが、「高卒認定」は学校に通う必要がありません。学習時間も最短で済み、費用も4,500〜8,500円(3科目~9科目)に抑えることができます。
しかし、高卒認定を受ける人の大半は、学習面のサポートを受けず、完全に独りで勉強を進める必要があります。一方、通信制高校では、毎日登校しなくても、学習面を先生にサポートしてもらったり、スクーリングで授業を受けたり、友人と交流を深めながら、高卒資格を取得することができます。
また、高卒資格は、学力だけではなく、「人間関係を構築しながら、様々な経験をしてきたこと」を示すので、就職活動においては「勉強以外の経験も積んでいる」ということを評価される指標にもなるため、就職において重要なアドバンテージになります。
何より、高校生活は、かけがえのない人生経験を得ることができます。先生や仲間と様々なことを学び、経験する時間は、この先多くはありません。たとえ経済的な事情や時間の都合で全日制高校や定時制高校に通えなくても、通信制高校では人生経験を積みながら高卒資格を取得することができます。

▊まとめ

高卒資格と高卒認定は、どちらも大学などの受験資格を得ることはできますが、取得方法や証明内容、履歴書の記載には大きな違いがあります。自分にとって今必要なものは、「高卒資格」なのか、「高卒認定」なのか、しっかりと見極めましょう。通信制高校であれば、先生のサポートを受けたり、仲間と交流を深めたりしながら、将来必ず役に立つ高卒資格を取得することができます。