通信制高校とは?通信制高等学校について詳しく解説!

通信制高校について疑問を持っている人も多いでしょう。通信制高校とは、「通信教育によって学習する高校」のことです。卒業要件さえ満たせば、全日制高校・定時制高校と全く同じ「高校卒業資格」を得ることができます。IT系やデザイン系などの専門分野を高校から学べるカリキュラム、自由に時間を使える事での海外留学、自学自習でも生徒本人を細やかにサポートしてくれるシステムなど、通信制高校にしかない魅力が多く、近年人気が高まっています。

通信制高校 / 全日制高校 / 定時制高校の違い

通信制高校、全日制高校、定時制高校には、それぞれ違った特徴があります。ここからは、通信制高校、全日制高校、定時制高校の違いについて、細かく見ていきましょう。

▊授業形態の違い
全日制高校と定時制高校は、学校によって定められた時間割に沿って登校して授業を受けます。一方、通信制高校は、自学自習を中心にすることも、できるだけスクーリングで登校して授業を受けることもでき、自分に合うように学習方法を選ぶことができます。いずれもスクーリングの日は、登校して授業を受けます。

▊登校頻度の違い
全日制高校では、平日の昼間に毎日学校に通い、土日は休みです。定時制高校では、昼間、あるいは夜間に毎日登校します。通信制高校では、登校頻度(スクーリングの日数)を自分で決められるところが多く、どのような形でも比較的自由に通うことができます。スクーリングの頻度は、月に数回、年に数回、毎日など、学校やコースによって様々です。自分の生活リズムに合う登校頻度を選びましょう。

▊制度の違い
全日制高校では、学年制が採用されています。定時制高校は単位制が主流ですが、学年制のところもあり、学校によって異なります。通信制高校では、単位制が採用されています。

▊卒業要件(在籍期間)の違い
全ての課程に共通して、3年以上の在籍期間が必要です。全日制高校では3年間、定時制高校では基本的に4年(3年で卒業することも可能)、通信制高校では最短で3年となっています。

全日制高校定時制高校通信制高校
授業形態時間割によって決まっている時間割によって決まっている自学自習が基本
登校頻度平日の昼間に毎日夕方から夜が基本だが、昼間に通えるところもある基本的には、月に数回のスクーリング以外は自学自習
制度大半は学年制単位制が主流だが、学年制のところもある大半は単位制
卒業要件3年間の修了によって卒業基本的に4年間(3年間で卒業することも可能)3年間以上在籍し、卒業要件(単位認定)を満たせば卒業
通信制高校の歴史

通信制高校が初めてできたのは昭和23年でした。意外にも、通信制高校は、70年以上も前から存在する、歴史のある高等学校なのです。昭和23年から昭和45年までに80校程度まで増加しましたが、そこから平成9年までの約30年間、ずっと80校前後のままでした。学校法人でなければ高校を作ることはできなかったため、通信制高校の数は増減しなかったのです。

しかし、平成10年の法改正から株式会社でも高校を作れるようになったことで、通信制高校の数がどんどん増えていきました。法改正によってインターネット化も進み、平成12年には120校程度に急増し、平成17年には180校程度、平成22年には200校を超え、現在では270校程度まで増加しています。生徒数も学校数の増加に比例していて、平成30年には18万人を超え、そこから毎年約1万人ずつのペースで増加し、現在では21万人を超えています。

さらに、近年で通信制高校の印象が大きく変わったきっかけとなったのは、平成28年のN校の設立。「人と違うことに違和感を持つ」という日本人の感覚を根本から変え、4年間で生徒数1万人を突破しました。そこから、不登校でもなく、勉強についていけないわけでもなく、「全日制に通っていたけど、集団での学びが合わない」「学校に通わずに、高校生のうちから自分のやりたいことを突き詰めても良いのではないか」など、ポジティブな要因で通信制高校を選ぶ人が急増しました。今では、「人と違うことをしたい!」という想いを持った若い人にとって、通信制高校は確固たる選択肢の1つになりました。

通信制高校のメリット・デメリット

通信制高校には、勉強面・生活面ともに、全日制高校とは違った特徴があります。さて、通信制高校に通うメリットとデメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

▊通信制高校のメリット
通信制高校には数多くのメリットがあります。まず、学費がとても安いです。例えば、公立の全日制は3年間で平均140万円かかりますが、公立の通信制高校だと3年間で平均10万円程度です。また、毎日登校する必要がないため、自分のペースで勉強できます。バイトや、夢を追⁠⁠うための活動を積極的に行いながらでも通えるのが、通信制高校の良いところです。さらに、単位制なので効率的に学ぶことができ、留年という考え方もありません。さらに、全日制高校と比べると、一人ひとりに対するサポートが充実しているのもメリットです。個別授業や個別指導の機会が多いので、様々な人に対応できる環境があると言えます。

▊通信制高校のデメリット
通信制高校では、自学自習を選択することもできるので、その場合は自立した学習をする必要があります。一人で勉強を進めるのが苦手な人は、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。また、スクーリングが少ない通信制高校を選んだ場合は、生徒同士の交流が少なくなる可能性があります。先生や他の生徒との関わりを大切にしたい人は、スクーリング(登校頻度)が多く、学校行事やイベントが充実している通信制高校を選びましょう。

通信制高校の入試と入学時期、卒業時期

入試や入学時期、卒業時期に関しても、通信制高校と全日制高校・定時制高校には大きな違いがあります。

▊通信制高校の入試
通信制高校の入試は、基本的には書類審査と面接です。面接は、簡単な質問に素直に回答するだけで良いので、リラックスして臨みましょう。学校によっては、作文や学力試験が課される場合もあります。通信制高校の学力試験は、現状の学力を確認するためのものなので、学力を理由に落とされることはほとんどありません。

▊通信制高校の入学時期
多くの通信制高校は、4月と10月の年2回入学できます。また、転入や編入をして通信制高校に通うこともできます。この場合は都度入学が出来る場合が多いです。(※現在通っている学校から別の学校に移ることは転入・すでに高校を退学した人が高校に入り直すことは編入と言います)転入・編入が可能な時期は学校によって異なりますので、あらかじめ情報収集するようにしましょう。

▊通信制高校の卒業
通信制高校は、学年制ではなく単位制なので、3年生を修了するだけでは卒業できません。3年以上在籍して、必要な分の単位を修得し、指定された登校回数に達することで、卒業が認められます。また、別の高校から転入・編入した場合は、以前に通っていた高校の在籍期間も合算できる場合があります。

通信制高校と通信制サポート校の違い

通信制高校と通信制サポート校は、名前は似ていますが、全く違うものです。通信制サポート校とは、民間の教育施設のことです。塾や予備校のように、普段の学校での学習に対する補助的な役割を担っています。通信制高校には、自学自習のみでは勉強が追いつかなくなってしまう生徒もいます。通信制サポート校は、そのような生徒の勉強面、精神面、生活面などを全般的に補助するという、重要な役割を担っています。

その他にも、通信制高校と関連性の高いものとして、技能連携校があります。技能連携校と通信制サポート校は、通信制高校とダブルスクールするという点で共通しています。技能連携校とは、技能連携制度を利用して、高校卒業の資格を得られる高等専修学校のことです。技能連携校の高等専修学校に入学した生徒は、同時に通信制高校にも入学し、高専の専門的な技術を学びながら、通信制高校で高校の勉強も行います。そうすることで、高等専修学校を3年かけて卒業するのと同時に、通信制高校も卒業することができ、高校の卒業資格を得ることができます。3年間で2つの学校を卒業できるのです。

まとめ

通信制高校について詳しく紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?最近では、「学校に縛られない」というメリットから、通信制高校を選ぶ人が増えています。バイトやインターンをしながら高卒資格を取得したい人、芸能関係の仕事やスポーツ選手を目指す人、海外留学に行きたい人など、通信制で「今やりたいことと、高卒資格取得の両立」を達成する人も多くなってきています。通信制高校と全日制高校・定時制高校の違いを理解した上で、自分に合った高校選びができると良いですね。