通信制高校と全日制高校、定時制高校には、主に通学頻度や、授業形式、学校生活、卒業要件に大きな違いがあります。このページでは、各課程の高校における様々な違いを詳しく解説していきます。
通信制高校の特徴
通信制高校では、文字通り”通信教育を行う”ので、基本的には自宅など、どこでも好きな場所で学習できます。週に何回通学するのかを自分で選択できる場合が多いですが、基本的には、スクーリングと呼ばれる制度により、学校によって決められた回数通学して単位を取得します。通信制高校の登校回数は、全日制高校・定時制高校とは異なりますが、卒業の際に得られる高校卒業資格は全く同じものです。毎日通学しなくても、各校で定められている卒業要件を満たせば卒業できます。
全日制高校・定時制高校の特徴
全日制高校では、平日の昼間に毎日登校し、1日6時間程度の授業を受けます。修業年限は3年間と定められており、土・日・祝日や夏休みは休暇となっています。定時制高校では、昼間か夜間に登校します。1日4時間程度の授業を4年間受けると、卒業することができます。近年、3年間で卒業できるコースも出てきましたが、その分、1日で受ける授業数が1日6時間程度に増えます。
通信制高校と全日制・定時制高校の違い
通信制高校、全日制高校、定時制高校には、それぞれ違った特徴があります。通信制と全日制高校・定時制高校で、通学頻度が異なるということは、多くの人が知っているでしょう。通学頻度以外にも、細かい違いが多くあるので、詳しく見ていきましょう。
▊入試
全日制高校・定時制高校の公立では、国語・数学・英語・理科・社会の5教科、私立高校は国語・数学・英語の3教科の学科試験を実施するのが一般的です。通信制高校においては、公立、私立ともに、書類審査と面接が実施されることが多いです。学校によっては、簡単な学力試験や作文も実施されますが、全日制高校・定時制高校とは異なり、学力を理由に落とされることはほとんどありません。
▊入学時期
全日制・定時制の入学時期は、原則4月のみです。転入・編入は、学期末や年度末などに限定されています。一方、多くの通信制高校は、4月と10月に入学できます。また、転入・編入も可能で殆どの学校が都度対応しています。時期は学校によって異なりますので、事前に調べるようにしましょう。
▊通学頻度
全日制では、平日の昼間に学校に通い、土日は休みです。定時制では、昼間、あるいは夜間に登校します。一方、通信制高校では、登校頻度を自分で決められるところが多く、自学自習がほとんどです。学校ごとに決められた回数スクーリングで登校しますが、その頻度は各高校によって様々です。自分に合った登校頻度の通信制高校を選びましょう。
▊授業時間
全日制高校と定時制高校では、学校によって決められた時間割に沿って授業を受けます。通信制では、基本的には自学自習し、スクーリングの日は登校して授業を受けます。
▊試験・定期考査
全日制高校・定時制高校の定期考査は、2学期制では年4回、3学期制では年5回実施されます。定期考査の点数に平常点を合わせて成績が付けられます。通信制高校では、年に1,2回、単位認定試験が実施されます。単位認定試験に合格することで、各科目の単位を修得できます。全日制高校・定時制高校と比べて、試験の回数が少ない分、試験範囲は広いですが、難易度としてはやさしめです。
▊学年制と単位制
全日制高校では、学年制が採用されています。定時制高校は、単位制が主流ですが、学年制のところもあり、学校によって異なります。通信制高校では、単位制が採用されています。
▊授業料
全日制・定時制高校でかかる学費は、 公立は3年間の平均は140万円程度、私立は3年間の平均は290万円程度です。一方、通信制は学費が安く、公立は3年間で平均10万円程度、私立でも3年間の平均80万円程度で卒業することができます。
▊卒業要件
全日制高校では3年間、定時制高校では基本的に4年間(3年間で卒業することも可能)です。通信制高校は単位制なので、3年間以上在籍し、定められた単位を修得すれば卒業できます。レポート提出とスクーリング、単位認定試験を繰り返して、単位を修得していきます。全ての課程に共通して、3年以上の在籍期間が必要です。もし通信制高校に入る前に他の高校に在籍していた場合は、通算3年以上でも認められます。
▊就職率
就職率は、全日制高校で17.2%、定時制高校で42.1%、通信制高校で19.6%となっています。通信制高校の中でも、公立通信制高校では21.9%、私立通信制高校では19.2%と、公立の就職率の方がわずかに上回っています。
参考:高等学校通信教育の現状について
▊進学率
全日制高校の進学率は約70%で、うち55%程度は大学進学、15%程度が専門学校進学となっています。定時制高校の進学率は約22%で、うち11%程度は大学進学、11%程度が専門学校進学となっています。通信制高校の進学率は約62%で、うち19%程度は大学進学、43%程度が専門学校進学となっています。全日制高校と通信制高校の進学率はほぼ変わりませんが、全日制高校の方が大学進学の割合が高いです。
全日制高校 | 定時制高校 | 通信制高校 | |
入試 | 国数英(理社)の学力試験 | 国数英(理社)の学力試験 | 書類審査と面接(作文や学力試験が実施される場合もある) |
入学時期 | 4月(転入・編入は、学期末や年度末) | 4月(転入・編入は、学期末や年度末) | 4月と10月(転入・編入は学校により異なる) |
通学頻度 | 平日の昼間に毎日 | 夕方から夜が基本だが、昼間に通えるところもある | 基本的には、月に数回のスクーリング以外は自学自習 |
授業時間 | 時間割によって決まっている | 時間割によって決まっている | 自学自習が基本 |
試験・定期考査 | 2学期制は年4回、3学期制は年5回の定期考査 | 2学期制は年4回、3学期制は年5回の定期考査 | 年に1,2回の単位認定試験 |
制度 | 大半は学年制 | 単位制が主流だが、学年制のところもある | 大半は単位制 |
授業料 | 3年間で 140万円程度(公立) 290万円程度(私立) | 3年間で 140万円程度(公立) 290万円程度(私立) | 3年間で 10万円程度(公立) 80万円程度(私立) |
卒業要件 | 3年間の修了によって卒業 | 基本的に4年間(3年間で卒業することも可能) | 3年間以上在籍し、卒業要件を満たせば卒業 |
就職率 | 17.2% | 42.1% | 19.6% |
進学率 | 70%程度 | 22%程度 | 62%程度 |
まとめ
通信制高校と、全日制高校、定時制高校、それぞれの特徴・違いをご理解いただけましたでしょうか?通学頻度や授業時間、学費、進学先など、各課程によって大きく違いがありました。このページを参考にして、自分の将来の目的や、現在の生活に合う課程を選べると良いですね。